2018年ドゥームメタルアルバム 9選

ドゥームと聞くと条件反射的にBlack Sabbathを思い浮かべる人も多いでしょう。僕もそうです。Black Sabbathは個人的に昔から思入れが強いバンドで、公式作品だけでは飽き足らず、数多くのブート音源を集めまくりましたねー。(最近はほぼ集め尽くしてしまったので全く集めていませんが)

Black Sabbathは様々な要素を内包し、各方面へ多大な影響を与えましたが、ドゥームはそのうちのほんの1要素でしかありません。今回紹介するのはそのドゥームな道を進んだバンドのアルバムなので、Black Sabbathのストナー的なキャッチーでポップな面が好きな人にはややとっつきにくいかもしれません。また、ドゥーム系は曲がスロウで長くなる傾向もありますので、そのあたりがやや退屈にも感じるかもしれませんね。実際、ここで紹介する作品も10分超えのトラックを平気でいくつも入れてきているものが多いです。

ただ、ぼくは厳密で細かいジャンル分けってあまりしたくないほうなので、少しでもドゥームな要素があるかなーと個人的に感じるアルバムを選んでいます。病的なドゥームマニアには怒られるかもしれませんがw

また、最近はなんだかドゥームメタルがまた盛り上がっているような気がします。特に昨年2018年は良質なドゥーム作品が数多くリリースされましたね。今回はそのうち僕の好みで9作品を選んでみました。

5月なのに30度超えの夏日が続くこんなクソ暑い時期にドゥームかよ!って感じもしますが、一周回って爽快感も感じてくるので、ドゥームで涼みましょう🔥🔥🔥🔥

『Eternal Return』/ Windhand

轟音でドゥームなギターリフに美しいクリーンボーカルが乗り、残響感とうねりがあるギターソロも印象的。ブルージーでサイケ感もある展開がBlack Sabbath的にも感じますね。SleepやHigh On Fireなども手がけているArik Roperによるアートワークも素晴らしい。

『Desolation』/ Khemmis

ドゥームバンドとして紹介されることが多いバンドですが、メロディアスで哀愁もあるヘヴィメタル的なメロディーが目立ちます。歌メロも聴かせるクリーンボーカルの中にもたまに絶叫系のグロウルが入ったり。今回紹介するアルバムの中で最も聴きやすいのが本作かと。ファンタジーなジャケットも印象的ですね。

『Alkymist』/ Alkymist

暗黒の中を絶叫するような残響感のあるボーカルが響くブラックメタル的な展開。スロウだけどたまにくる転調や分厚いギターリフもワクワクするし、たまに出てくる語りやギターソロでは泣かせる。

『The Incubus of Karma』/ Mournful Congregation

ドゥームの中でも最も暗いジャンルと言われるフューネラルなドゥームメタルバンド。グロウルなコーラスも入ってくるが飾り付け程度でしかなく、ほとんどがインスト。暗く重厚がギターも時にはドローン的でダークアンビエントに通じるものを感じます。

『Hypnagogia』/ Evoken

第一次世界大戦を題材にしたという本作。残虐で沈み込むようなスロウなリフが絶望さも感じる荘厳なサウンドがゴシック的でもあり、物悲しくも様式美的にも感じさせる美しいアルバムとなっています。

『Ossuarium Silhouettes Unhallowed』/ Hooded Menace

なだれ込むようなリフさばきとメロディアスでドラマティックな展開が素晴らしい。転調が多く、スロウに続く展開があまりない分、聴きやすさもあるので、長いトラックでも長さを感じさせない。

『Magus』/ Thou

ヘヴィメタルよりもマリリン・マンソンやグランジ方面などにルーツがあるという彼ら。分厚くスロウなリフにブラックメタル的な絶叫気味なボーカルが心地よい。轟音の中で鳴り響くアルペジオが美しいラストトラックは素晴らしい。

『Our Raw Heart』/ Yob

バンドの中心人物であるMike Scheidtが感染症などによる合併症で臨死体験を経たあとにその勝利の凱歌として製作されたという本作。ドゥームの枠に捉われず、ポストロックに迫るようなドラマティックでエモーショナルな展開や、宇宙的難解さや排他性もあり、そのあたりはToolに通じるものもありますね。タイトルトラックのオーディオビジュアライザも素晴らしい。Toolがハマった人や難解でドラマティックな展開が好きな人におすすめしたい傑作。

『The Sciences』/ Sleep

Matt PikeがHigh On Fireを結成する前まで活動していましたが、再結成を果たし、実に約19年ぶりの新作としてリリースされた本作。ドローン感のある、うねるギターイントロで幕を開け、前述のYobのような難解さもなく単調で畳み掛けるようなリフがアルバムジャケットのように宇宙空間を漂うような浮游感もあり、落ち着いたイントロからいきなり繰り出される轟音だがほどよい歪みのリフに爽快感もあり、静かにラストを迎える。メタルファンに限らず、幅広いリスナーに聴いて欲しいアルバム。傑作。