イエス50周年来日ツアー最終日に行ってきた

イエスの音楽に出会ったのは、高校卒業後から大学入学までの1年間、いわゆる浪人時代です。高校時代はハードロック系ばかり聴いていたのですが、イエスに出会って以来、音楽を聴く幅が急激に広がりましたね。それからELP、キング・クリムゾンなどのプログレ系を聴き漁ったあとに、ロック以外もかなり聴くようになって今の私があるので、そのきっかけを作ってくれたイエスにはただただ感謝です。

今のイエスは、スティーヴ・ハウやアラン・ホワイトがいるいわゆる本家イエスと、ジョン・アンダーソンとトレヴァー・ラビンとリック・ウェイクマンからなるARWに分割されています。

前者の本家イエスを前回観たのは、2016年の11月。会場は渋谷のオーチャードホールで、このときは『海洋地形学の物語』と『ドラマ』と、ライヴ盤である『イエスソングス』からの選曲が目玉でしたね。

当時配布された『ドラマ』のクリアファイル

そして後者のARWは、本家イエスの来日公演から半年後の2017年4月。会場も同じくオーチャードホールでした。

2017/4/17。スマホでの撮影はOKだったので。

しかもこのときは、ロックの殿堂で本家イエスとARWが合流してショウをして大きな話題となった直後の公演ということで大変盛り上がりましたね。

ロックの殿堂の時のショウ。Rushのケディ・リーも参加。

ARWは、名義もこの来日公演から「Yes featuring ARW」となり、ライヴ盤もイエス名義でリリースされましたね。

今の本家イエスのボーカルを務めるジョン・デイヴィソンの声もなかなかだったのですが、イエスのオリジナルメンバーであるジョン・アンダーソンの声を改めて生で聴いてしまうとやはり段違いの貫禄というか安心感があります。MCパートでのちょっとしたお茶目なトークの声ですら「あぁ..教祖様…」となってしまうほど。本家イエスよりもイエスらしさを感じた人が多かったと思います。

2017年のARW公演の様子

前置きが長くなりましたが、今回行ってきたイエス50周年公演は前者のいわゆる本家イエス。40周年がついこないだかと思ったらもう10年経ってしまいました。アニバーサリーツアーなんだからARWも合流してみんなで来いよ、とは思いましたが。

今回のツアーは各日セットリストが異なり、東京公演3日間のうち初日が『危機』の再現、2日目はベスト選曲、最終日が『サード・アルバム』全曲演奏というセットリストになることが予め予告されていました。

さらにスペシャルゲストとして、オリジナルメンバーであるトニー・ケイが参加することも告知されていました。彼が来るからなんだって感じはしましたが、トニー・ケイが来るなら『危機』なんかより断然『サード・アルバム』じゃね?ってなったので、最終日に行ってみました。

最近のプログレ系のショウは渋谷のオーチャードホールが定番でしたが、イレギュラーなことに、今回は東京ドームシティホールでした。東京ドーム自体はわりとよく来ますが、シティホールだと最後に行ったのは5年ほど前の、今はなきKalafinaのショウのときだった気がします。Kalafinaのときはアリーナスタンディングでかなり楽に観れましたが、長丁場になるイエスはさすがの全席着席スタイル。

当日券も若干数あった模様

チケットは紙のチケット(滅びて)で、コンビニで発券した際に座席が書いてありましたが、1階バルコニーの4列目との記載があったので、まずまずの席かなーと思いきや、ステージド正面の前から2列目のバルコニー席でした。これはかなりツイてます。下手にアリーナ席後方とかだと前の人の頭部などで逆にみえづらいことが多いので、バルコニーの前列のほうが断然見やすいのです。しかし、今回の東京ドームシティホールは、オーチャードホールの半分ほどの奥行きで、小ぶりな武道館という造りなので、わりとどこからでも観やすくなっております。

来場時にはいつものようにクリアファイルが配られました。当日は『サード・アルバム』のセットリストの日ということで、『サード・アルバム』のクリアファイル。

グッズ販売コーナーでは、さすがのイエスブランドといった感じで、開演直前まで列が作られていました。私はスルーしましたが。CD販売コーナーでは、イエスや関連アルバムがズラッと並べられるのは、毎度のことながら壮観ですね。まぁほぼ全部持ってるのでなにも買うものはありませんけどね。

開演時刻をほんの僅かに過ぎたあとに、オープニングが流れました。いつもの火の鳥です。

そして1曲目はスロー気味な「Close To The Edge」でスタート。オーディエンスもですが、メンバーは高齢なのでゆっくりになるのは仕方ないと思いきや、徐々にハードになってゆき、感無量のフィナーレを迎えました。改めてこの曲の凄さを染み染みと感じるなど。

その後は「Parallels」などの懐かしい曲を挟んでからの「Fly From Here Pt.1」が素晴らしかった。現在のボーカルのジョン・デイヴィスの声の伸びの良さもありましたが、やはり曲自体も良い。生で聴けてよかったですね。ビリー・シャーウッドのベースラインが光った「Heart Of The Sunrise」で第一部は終了。第一部はベスト選曲と言った感じでしたね。最近のイエスのショウはアルバム再現系が多かったので逆に新鮮でしたね。そしてお手洗い休憩という名のビール流し込みタイム。

休憩明けからの第2部では、ドラムにアラン・ホワイト、そして今回のツアーのスペシャルゲストであるトニー・ケイが登場。固定メンバーのキーボードの壁を築いているジェフ・ダウンズはそのままで、トニー・ケイはドラムの前辺りで1キーボードでプレイ。そして『サード・アルバム』の1曲目である「Your Is No Disgrace」で第2部がスタート。トニー・ケイもすでに白髪のおじいちゃんでしたので、静かに弾くのかと思いきや、超ノリノリで豪快に弾き始めたので驚きました。こんなにお茶目な方だったとは。トニー・ケイはひたすら自分のオルガンパートに専念し、それ以外をジェフ・ダウンズという弾き分けでも非常にいい感じでした。単にキーボードが2人いるというのも、音に厚みが増して良かった。

ところで今回の来日公演、初日は『危機』の「完全再現」、最終日は『サード・アルバム』の「全曲再現」という触れ込みでしたので、最終日はアルバムの曲順じゃないのかと思いましたが、結局アルバムの曲順どおりの演奏でした。『サード・アルバム』の再現では、トニー・ケイは「Your Is No Disgrace」と「Starship Trooper」、アラン・ホワイトは「Starship Trooper」のみに参加。

そしてアンコール開けは再びトニー・ケイが登場し、なんとセカンドアルバムの1曲目である「No Opportunity Necessary, No Experience Needed」を演奏。今回は正直私も含め、この曲が一番盛り上がった気がしますw 初期のイエスも大好きなんですよね。

そして最後はアラン・ホワイトも合流してお約束の「Roundabout」でシメ。休憩を挟みましたが、正味2時間ほどの公演でした。高齢のメンバーが多い中、2時間もできるだけでも凄いです。

終演後の挨拶

本公演もスマホでの撮影はOKだったようで、カシャカシャ撮りまくってた人が目立ちました。私はスマホを取り出すのが面倒だったので上の写真以外は撮らず。

50周年ツアーも終わったことだし、イエスはしばらく活動はないかな?と思ったら、現在アルバムを製作中で再びツアーに出る予定だそうな(アラン・ホワイトへのインタビューより)。

https://udo.jp/concert/Yes/articles

アラン・ホワイトはもうそろそろリタイアでしょうが、スティーヴ・ハウはもうかなり高齢なので、彼が元気なうちはイエスの活動は続きそうです。ステージでも元気そうでしたしまだまだやれそうな雰囲気でしたが、もしハウがリタイアしてもビリー・シャーウッドなど比較的若いメンバーもいますし、ARW側が合流すればもう10年はイケるんじゃね?って感じはします。

ビリー・シャーウッドはハウ以上に今のイエスにとってなくてはならない存在になっている気がしますし、完全にクリス・スクワイアの跡を継いでいる感じがします。ボーカルのジョン・デイヴィソンも若いなりに声の伸びもいいし体力もあります。また、キーボードにはジェフ・ダウンズがいますので、またトレヴァー・ホーンと合流するのも面白そうですね。2011年の『Fly From Here』をトレヴァー・ホーンで撮り直したのもかなり良かったですし。

まぁプログレ界隈はベテランが居座り続けるせいで若いバンドが出てこない、なんてことがないジャンルですので、イケるところまで活動し続ければいいと思います。また誰かが亡くなる前には本家イエスとARWは合流してほしいですね。

今回のイエス50周年東京公演各日のセットリストは以下の通り。

2019年2月22日(金)

~第一部~

01. Parallels
02. Sweet Dreams
03. Fly From Here, Part I: We Can Fly
04. Nine Voices (Longwalker)
05. Clap
06. Madrigal
07. Yours Is No Disgrace

~第二部: Close to the Edge~

08. Close to the Edge
09. And You and I
10. Siberian Khatru

~アンコール~

11. No Opportunity Necessary, No Experience Needed
12. Roundabout
13. Starship Trooper

2019年2月23日(土)

~第一部~

01. Close To The Edge
02. Nine Voices (Longwalker)
03. Parallels
04. Clap
05. Madrigal
06. Fly From Here, Part 1: We Can Fly
07. Sweet Dreams
08. Heart Of The Sunrise

~第二部~

09. Perpetual Change
10. Does It Really Happen?
11. Soon
12. Yours Is No Disgrace

~アンコール~

13. No Opportunity Necessary, No Experience Needed
14. Roundabout
15. Starship Trooper

2019年2月24日(日)

~第一部~

01. Close To The Edge
02. Nine Voices (Longwalker)
03. Parallels
04. Madrigal
05. Fly From Here, Part 1: We Can Fly
06. Sweet Dreams
07. Heart Of The Sunrise

~第二部: The Yes Album~

08. Yours Is No Disgrace
09. Clap
10. Starship Trooper
11. I’ve Seen All Good People
12. A Venture
13. Perpetual Change

~アンコール~

14. No Opportunity Necessary, No Experience Needed
15. Roundabout

ってあれ?各日セットリストが変わるよとか言っておいてほとんど曲順入れ替えただけじゃあ…w